知覚過敏

今までどこかで聞いたことのある”知覚過敏”は“sensitive teeth”とも言います。
虫歯でもないのに歯がしみる、痛いという症状が知覚過敏です。
冷たい物を口に入れた時、時には酸味の強い物などでも起こる症状。ひどい時にはこの寒いシカゴの冬の空気がさわっただけでもキーンと感じてしまうのがこの知覚過敏です。

正式に“象牙質知覚過敏”と呼ばれるものは何らかの原因で異常を示しています。
もともと口の中に見えるのは頑丈なエナメル質と歯ぐき。しかし歯ぐきが下がり始めるとエナメル質で覆われていない根の部分が露出してきます。この根の部分は顕微鏡で見ると象牙細管という小さな管があり、これは歯の神経(歯髄)とつながっています。
ここに刺激が加わると簡単に表面から歯髄に伝わり、痛みやしみを感じるのです。

この知覚過敏の原因は何でしょう?

  • ブラッシング時の力の入れすぎや正しくない磨き方です。忙しいこの毎日のスケジュール、ついつい力を入れてゴシゴシと磨いてしまう。こんな経験は誰にでもあるでしょう。しかしこれを何回も続けていると歯ぐきも疲れ果て下がり始めます。また固めの歯ブラシもこれを早めます。残念ながら一回下がってしまった歯ぐきは元には戻りません。自分の口は自分でケアするしかありません。気をつけてください。
  • 上のように歯ぐきが下がった後、同じようにゴシゴシ磨いていると今度は根の部分が磨り減り始めます。そうするとより歯の神経に近くなるためもっと過敏になります。
  • 歯の汚れ、すなわち歯垢(プラーク)の細菌が出す刺激物質が根から神経に伝わり過敏になることもあります。
  • 歯並びの異常,歯ぎしりで歯がぐらつき歯ぐきのあたりのエナメル質がはがれ落ち そして上記の象牙細管が露出することもあります。

治療方法には

  • ブラッシングを正しく、又 強く力は入れない。市販の歯磨き粉には研磨剤といって歯を磨く素材が入っていますが 知覚過敏の気配がある方は歯磨き粉の量を減らしてブラッシングされるのもひとつの方法です。 歯みがき粉の量、すなわち研磨剤が多いと、歯が削れて知覚過敏を悪化させることがあるからです。
  • 知覚過敏用の歯磨き粉も市販されています。中に根の表面をコーティングする成分が入っていて痛みを押さえてくれます。
  • もしも噛み合わせか歯ぎしりが原因であれば 噛み合わせの調整や歯ぎしり用のマウスガード(マウスピースのようなもの)などで防げます。
  • いったん磨り減った歯の表面は自然には戻りません。歯の痛み、しみるのを治すのと同時にそれ以上磨り減らないように硬化レジンという歯の色をしたもので埋める方法があり、現在の最新の素材と技術で簡単に処置できます。

知覚過敏が悪化すると、ブラッシングでも痛みを感じるようになり、しみる所を磨くのが苦痛になってきます。そのままにしていると、虫歯や歯周病の原因となる歯垢が取れなくなり、様々なトラブルにつながります。また過敏な神経が時には腐敗され炎症を起こすこともあります。心当たりがある方はあまり進行しないうちに次回の検診で歯科医に相談されるのがよいでしょう。