画期的な新歯列矯正法・床矯正

今回はまだあまり知られていない 床(しょう)矯正 についてお話しましょう。
歯の矯正といえば、抜歯をして、金属のワイアーで長期間歯を固定して歯並びを変えるものだと皆さん思っているかもしれません。今回と次回は新しいコンセプトから生まれた新歯科矯正法をお話します。

元々の歯列矯正は永久歯が生え終わるころから始めるものですが、この床矯正というものは4歳から10歳までの間、永久歯が生え終わる前にする矯正です。
歯並びは歯の生え方の問題ではなく、多くは骨格の不正常な発育から起こる問題です。あごが小さい所に大きな歯が生えてこようとすると、正しい場所には生えず、本来の場所とは違う所に無理やり生えるしかないのです。特に、狭いアゴに最後に生えてくる犬歯がよく前にずれて生えてきます。これが俗に言う八重歯なのです。
従来の固定式矯正では、かなりの混雑があれば抜歯をし、十分な隙間を作る必要がありますが、この床矯正法では、永久歯が生えそろう前に骨格自体を正常な状態に戻すことで、歯並びを歯が生える前から自然に本来の場所に誘導し、抜歯をなるべく必要としないようにする矯正法なのです。また骨格を改善することによって噛み合わせや顔つきも良くします。あごを広げるとはいえ、それは口の中だけの事で、見た目に分かる程度ではありません。ご安心下さい。

この矯正に利用するのはこのような、色や柄のついたリテイナー装置で、実際にこれを利用する子供も興味を持ってくれています。当院ではこの矯正法を15年以上行っていますが、子供同士で見せ合って自慢し合っている話をよく耳にします。
また取り外し可能な装置なので、食事中はもちろん、学校でも体育の時などは外すことが可能ですし、掃除も楽にできます。
治療期間は普通の矯正の半分くらいで、費用は普通の矯正の1/3程です。普通の矯正と比べると比較的お手ごろなのではないでしょうか。
短所は、取り外しのきく装置なので、うっかりと失くしたり壊したりしてしまうこともあります。また、アゴを広げ、下から生えてくる永久歯に十分なスペースを与えてあげる方法なので、最終的に、完全に歯並びをまっすぐに並べるという治療ではありません。完全な歯並びのために、このリテイナー治療の後に、固定式の矯正を必要とする場合もあります。但し、リテーナー治療でアゴを広げているため、抜歯を必要としない事は大きなメリットです。またリテーナー治療と固定式矯正とを両方必要とする場合の費用は、通常割引されると思います。費用や期間は個人差があります。医師に直接ご相談下さい。

歯並びが綺麗になる事は外見が良くなるのはもちろんですが、機能的にも、噛み合わせが正しくなるという事は、一生の健康生活に重要な事です。