歯科用マイクロスコープ(顕微鏡)

歯科治療の世界は作業場が極端に狭く、繊細な技術を要求される医療といえるでしょう。

細かい作業のため、時には歯科医師の”勘”や”感覚”に頼ることもあり、その結果、不具合を招くこともあります。
今回は画期的な最新テクノロジー、歯科用マイクロスコープを紹介します。

マイクロスコープは1950年代に耳鼻咽喉科で導入を始めて以来、色々な外科分野の微小組織治療に必須の器具となりました。
歯科医療ではまだまだ普及は遅く、アメリカで1990年代初頭において神経、根官治療の専門医に使われるようになりましたが、一般歯科では普及率はまだまだです。

Carl Zeiss PROergo

歯科治療において、たとえばクラウンの適合性は数μm(マイクロメートル)の範囲内で適切とされていますが、人間の直視では0.2mmしか判断できません。後は器具に頼って検査するしかないのです。マイクロスコープでは20何倍にまでも拡大できるので判断効果の精密さは言うまでもありません。

裸眼での検査
マイクロスコープでの検査

近代のテクノロジーではマイクロスコープがデジタル化され、コンピューターモニターに映し出すことも可能になりました。デジタル画像は患者さんとの治療上のコミュニケーションにも役に立ち、また保存、プリントも可能です。

デジタル マイクロスコープ
ルーペ眼鏡

マイクロスコープでの治療の最大のメリットは、明るい照明下で必要により拡大率を変えて治療を行うことができることでしょう。メガネに着けるルーペは一定の拡大率(最大で5倍)しか見えず、制限がでてきます。

検査、診断、確認などには20倍以上、一般の治療には3-10倍の拡大率といったように使い分けることが出来るのは、マイクロスコープならではの利点といえます。また、拡大することにより虫歯治療で削る量を最小限にでき、より早い発見、より正しい診断を可能にするマイクロスコープはこれからの歯科治療にも欠かせない存在となっていくことでしょう。