インプラント治療 (Part II)

歴史:

歯がない所に再現されるこの治療法は今では95%以上の成功率という実績があり、他の治療選択よりも優れていると言えるインプラント治療。歴史はエジプト時代にもさかのぼり、当時は貝殻を歯ぐきの中に入れ込み、噛めるようにしていたことも発見されています。いろいろな形、模様の貝殻で一種のファッションだったのかもしれません。今から考えると面白い話です。

近代の歯科インプラントは1952年にスウェーデンのブローネマルク医学博士がチタンでできた器具をある研究でうさぎの足に入れた後、取れなくなったことが偶然の大きな発見となったのです。それから数年、実験を重ね、チタンをある一定の条件の環境で骨の中に入れ込むと拒否反応どころか特殊な方法で結合(この時オッセオインテグレーションと名づけられました)する過程が明らかにされ、1965年に初めて人工歯根として使われ始めました。それから40年、今ではより改善されて世界中で使われるようになりました。

長所:

前号にも書きましたがインプラントの他の治療に比べた長所をまとめてみましょう。

  • もともとの歯の形に近くなるので 従来の義歯のような違和感がほとんどない。
  • 噛み心地は自分の歯とほぼ同じ。
  • 歯骨は従来、歯が失われると縮むのですが それを防ぐことによって口の中のバランス、顔立ちなども保たれる。
  • 従来の義歯は無くなった歯を再現させるために他の歯を使わなければならず、余計に負担がかかり健康だった歯にも悪影響を及ぼす可能性がある。インプラントはそれがない。

治療が適さない場合:

  • インプラントは実際 歯ぐきの中の歯骨に入れられます。よってその部分がしっかりしていないとできません。(現在では、場合によって骨の再生治療により可能にもなります)
  • 年齢;上限はありませんが 子供には適しません。基本的に成長が終わってからになります。検査法はありますが、平均的に20歳くらい以上が目安です。
  • 心疾患、免疫疾患、糖尿病など手術に何らかの問題を起こす可能性がある場合は医師と事前に良く話し合うのがよいでしょう。
  • 妊娠中;レントゲン、麻酔などが必要になりますので出産後に延期します。

治療の流れ:

  • 検査・診断;あらゆる検査法でもっとも適した診断、治療計画をします。
  • 手術;局所麻酔でインプラントを歯骨に入れます。
  • 1,2週間後に抜糸と検査。
  • 場合によって異なりますが約3ヶ月待ち、中で結合されたことを確かめた上、歯冠(クラウン)を作り接着します。

どんな治療にも言える事ですが治療後はアフターケアが重要です。6ヶ月に一回は必ず検診を行いあらゆる面で問題を予防するのが大事です。

正しい診断と処置によってもとの自分の歯に近い歯を再現できるインプラント治療、歯科医とよく相談をして理解、納得して治療を受けられることをお勧めします。