親知らず

“親しらずがあるのですが、抜いたほうがいいですか?”とよく質問されることがあります。親知らずとは、正式には第三大臼歯と言われる一番奥の歯です。
第三大臼歯は、生えてくる時期に大変個人差があり、早い人では十代後半、遅い人では、二十代後半に生えてきます。または生えないことも多い歯です。生えない理由としては、生まれつきない場合と、アゴの中に存在するが生えてくる場所がないために中に埋もれてしまう場合があります。現在、健康な日本人成人の歯は28本とされています。この中には親知らずは含まれていません。
食生活が変化しアゴが小さくなっている現代人には、親知らずが存在することによるトラブルが増えています。アゴが小さくなりつつあり親知らずが完全に生えるには十分ではないことが多いのです。

親知らずが生えていても磨ききれないとか、完全に生えなかったり、変な方向に生えたり、中で埋もれてしまう(潜伏状態)など、その事により親知らずの周りが不潔になったり、前の歯が押されて歯並びが悪化してしまうことがあります。そのため次のようなトラブルが発生する可能性があります。

  • 親知らずだけでなく前の歯も虫歯になる。
  • 親知らずだけでなく前の歯もシソーノーローになる。
  • ばい菌が集まり 歯ぐきを腫れさせる。
  • 前に動こうとする力により歯並びを悪化させる。
  • 矯正をした後の歯並びを変えてしまう。

このような問題が生じてきた場合、又 起こる可能性が高い場合は抜歯した方が良いでしょう。 また “今は痛くないので様子を見たい”というのもよく聞きます。 もちろん
その気持ちは分かるのですが、痛くなった時には 親知らずだけではなくこのように
前にある健康な歯までも影響してしまうケースもよくあります。

そうするとその歯までも治さなければいけなり最悪の場合は抜くことになる場合もあります。

親知らずの抜歯はその状態によって難度は違ってきます。歯ぐきを切開したり 歯を分割して取る場合もあります。しかし完全局所麻酔をしての抜歯ですので治療時には痛みは感じません。まれなケースで数日間 腫れて痛みが残ることがありますが
大半の方が2,3日で大きな違和感もなく回復します。時には抗生物質、鎮痛剤などの処方箋をもらう時もあります。

正常にかみ合って、何も問題のない親知らずなら抜く必要はありません。また、親知らずはとっておけば将来的に他の歯がだめになった時に使える場合もあります。
しかし、親知らずが存在するだけでトラブルを起こしているような場合には、親知らずを抜いてその他の正常な歯、28本を一生維持しやすいように処置した方がいい場合もあります。次回の歯科検診で相談してみるとよいでしょう。