海外療養費給付制度 みなさん、ご存知ですか?

今回は歯の話ではなく、皆さんが海外で支払った医療費が、日本の健康保険

でも給付が受けられるというお話です。
この制度は、海外渡航中に怪我や病気で治療を受けた時の医療費についても
国内にいるとき同様、保険の給付が受けられ、支払った医療費の払い戻しを請求できるようにと、2001年1月1日に施行されました。

この制度を受けるためには、国民健康保険または組合健康保険に渡航中も加入していなければなりません。

海外で支払った医療費は、基本的には日本国内での保険医療機関で病気や事故などに遭った場合に給付される額を標準として、決定した金額の7割(国民健康保険は3割が自己負担のため)が海外療養費として支払われます。

アメリカは日本と比べて、一般的に医療費が高いので注意が必要です。

この制度は、日本国内で同じ治療を受けた時にかかると想定された金額の7割しか給付されません。

例えば、アメリカでの治療が$100かかったとしても、日本でその治療は$20で受けられると想定された場合、支給額は$14です。

反対に、アメリカで受けた治療が$20で、日本ではその治療が$100と標準設定されていたとしても、支給金額はアメリカで支払った$20の7割、すなわち、$14です

支給算定の邦貨換算率は、その支給を決定する日の外国為替換算率の売レートを使用するそうです。

この制度にはもちろん制約があります。

日本国内で保険適用になっていない医療行為は、給付の対象にはなりません。

例えば、心臓や肺などの臓器移植、人工授精などの不妊治療、性転換手術、美容整形等。自然分娩も対象外ですが、これは出産一時金が支払われるそうです。

歯科治療で言えば、日本で保険のきかないインプラント、矯正、審美歯科(ホワイトニングやベニア、金・セラミック・プラチナ等を使用した被せ物)は支給の対象にはなりません。

払い戻し請求は各市区町村、組合へ必要な書類を提出し申請します。請求期間は支払いを行った日の翌日から2年間です。

書類は各組合で所定の用紙があり、歯科治療用にはまた別の用紙が用意されている所もあります。必ず窓口(市区町村、もしくは会社の総務)に確認し、必要な用紙を全て請求してください。

海外の医療機関でかかった金額の全額を支払い、その領収書を他の書類とともに提出します。また、書類の記入が日本語以外で行われた際には、その翻訳も添付する必要があります。どうぞご注意ください。

詳細につきましては、ご自身で加入されている各自治体の国保の窓口に問い合わせるか、会社の総務のご担当者に確認して下さい。

少し手間がかかるかも知れませんが、少しでも手元に戻るのであれば、ぜひ手続きをされることをお勧めします。また、いざという時の為、事前にこれらの書類を取り寄せておくことも有効なことだと思います。

“備えあれば憂い無し”とはいえ、何事もなく渡航期間を終えられ、無事に日本に帰国されますことが何よりです。

(参考)

社団法人 国民健康保険中央会 Tel 03-3581-6821

http://www.kokuho.or.jp