デンタル寸話

 本当の大人は口の中も美しく 成人期

前回、思春期は歯肉炎になりやすいということを取り上げましたが、その時にきちんと治療をしないでおくと、大人になるころには歯周病にまで悪化してしまいます。なりたては歯茎から血が出るだけだなどと軽く考えがちですが、実は歯を失う原因として最も多いのが、この歯周病です。歯周病は歯の表面に付着した歯垢の中にいる細菌によって引き起こされるものですが、歯肉はもともと組織的に弱く、病気になりやすいのです。ですから、細菌の増殖や、全身の抵抗力の低下などで、すぐに歯周病は発生してしまいます。歯は抜けてしまえばもう生えてきません。忙しいからと手入れを怠っていると大変なことになってしまいます。身なりだけでなく、口の中の手入れも大事です 。

あごを動かそうとすると痛みがあったり、口が開かなくなるなどの顎関節症に悩む人もこの時期に多いようです。そして、20歳前後に親知らずが生えて来る人もおり、これが正しい位置に生えずに隣の歯を圧迫したり、磨き難いため虫歯になる人も多く、激しく痛んだり、腫れたりする原因になることもあります。定期健診などの際に、親知らずがあるのかどうか、また、抜く必要があるのかどうかなど、歯科医に相談してみてはいかがでしょうか。特に女性の方は出産前後に親知らずがいたずらをすることがよくあり、「先に抜いておけばよかった」などという話もよく聞きます。

 

20歳を過ぎると虫歯にかかる率は少なくなりますが、歯茎のトラブルが増えてきます。歯周病になりやすい人の食事パターンは、脂質、たんぱく質、糖質が多く、ビタミン、ミネラル類が非常に少ないといわれています。ビタミン類、特にビタミンCが不足すると、歯周組織の抵抗力が低下し、歯垢が付きやすくなり、歯茎の健康にも影響します。栄養だけでなく、良く噛んで唾液を十分に分泌させながら食べることも、口の中の汚れを残さないポイントです。

歯は体の一部なので、特別な食生活は必要なく、普段の食事からバランスよく栄養を取ってください。歯をつくる主な栄養素はカルシウムですが、その土台となるのはたんぱく質です。カルシウムだけではなく、鉄やマグネシウム、りんなどの無機質も欠かせません。ビタミン類はカルシウムの吸収を助け、体の抵抗力を強くするため、たっぷりとりましょう。ビタミンCは熱に弱いので、生野菜や果物でたっぷりと取り入れてください。また、食物繊維の多いものをよく噛んで食べることも大切です。唾液の分泌が多くなり、虫歯予防にもつながります。

体は毎年一度の健康診断でチェックしているけれど、歯は痛くならないと歯医者に行かないという方が大変多いと思います。もちろん、虫歯も無く、歯茎も健康であればそれでも何とかなるかもしれませんが、まだ症状が出ていない虫歯や、初期の歯周病をどれだけの人が自己診断で発見できるのでしょうか。いざ症状が出たときにはもう手遅れなどとなる前に、もう抜くしかないといわれる前に、ぜひ歯医者での検診を受けてください。予防に勝る治療はありません。

また検診で行われるクリーニングは毎日自分でする歯ブラシで磨ききれなかった歯垢を完全に掃除します。半年に一度は診てもらいましょう。

もう一度繰り返しますが、抜けた歯はもう2度と生えてきません。

最後まで自分の歯で、美味しく食事をしようではありませんか。

クリーニング前
クリーニング後